HMI社長 比良竜虎の特集記事が日印協会会報誌MJIAマガジンに掲載されました。

公益財団法人日印協会 機関誌2026年4月1日 日印協会機関誌「MJIA」№69
インタビュー企画 =日本で活躍するインド人・第1回=

ゲスト:写真(右)日印協会評議員、公益社団法人在日インド商工協会会長、HMIホテルグループ代表 比良 竜虎 氏

インタビュアー:写真(左)公益財団法人日印協会 理事長 齋木 昭隆 氏

 

齋木昭隆理事長(以下、齋木理事長)

比良さんと日本とのご縁は非常に長いものとお聞きしていますが、そもそもどのようなきっかけで日本との繋がりが生まれたのでしょうか?

 

比良竜虎氏(以下、比良氏)

私と日本との関わりは、1905年の日露戦争終結の年にまで遡ります。この年、日本はイギリスと第二次日英同盟を締結しました。その条文には、当時イギリスの植民地であったインドの領有権や防衛権を認める内容が含まれており、その一環としてインドの企業約50社が日本に誘致されたのです。その中の1社が私の先祖の会社でした。これが、私の家系が日本で事業を始めることになった全てのきっかけです。

 

(齋木理事長)

明治時代からとは、まさに日印交流の生き証人のような歴史ですね。ご自身のお仕事についても、その流れを汲んでいるのでしょうか。

 

(比良氏)

はい。1921年に実父と叔父が横浜で、絹のインド向け輸出事業を創業しました。関東大震災の後は神戸に移りましたが、1952年には再び横浜に戻り、ナイロンジョーゼットなど化学繊維のインド向け輸出事業を開始しました。その後、1966年に東京へ移転してからは鉄鉱石や金属などの輸入業へとシフトし、現在まで100年以上にわたってこの企業を継承・発展させてきました。また、1970年にはニッポンレンタカー株式会社の石川浩三氏と共同出資で株式会社サンルートホテルシステムを設立し、ホテル業界にも進出しています。

 

(齋木理事長)

100年以上の歴史を繋いでこられたとは、並大抵の努力ではありませんね。

 

(比良氏)

日印協会の創設の頃の話ですとか、戦前、戦中、戦後の話なども、実父からよく聞かされました。特に戦後の話で言えば、1957年に岸信介総理大臣がインドを訪問された際の話は、今も語り継がれています。当時、インドを訪れた岸信介総理大臣は、「敗北した国を真の友情を持って歓迎してくれるのは、真の友人である」という趣旨の演説を国会でされました。この言葉に当時のインドの人々は深く感動したのです。そして時が流れ、お孫さんである安倍晋三総理大臣がインドを訪問された際、「私の祖父がこの約束をしたから、自分も最後までインドの友達として残る」と演説されました。この強い信頼の絆は、今の日印関係の大きな基盤になっていると思います。

 

(齋木理事長)

岸信介総理大臣から安倍晋三総理大臣へ、世代を超えた約束が果たされたわけですね。そうした良好な政治関係の一方で、日本企業がインドに進出する際には、まだ課題も多いように見受けられます。

 

(比良氏)

日本企業がインドになかなか進出できない理由は、率直に申し上げて大きく二つあると思います。一つは、インド側の倫理的な問題です。過去に土地取引や訴訟を巡って、大変な苦労をされた企業もありました。インド側にはこうした経営文化の強化、倫理観の改善という大きな反省点があります。もう一つは、インド各州の努力不足です。国としての枠組みはあっても、実際に事業を行う各地域の受入れ体制が十分でない面があります。

 

(齋木理事長)

現地の倫理問題や州レベルの対応が壁になっているのですね。では、日本企業が成功するためには何が必要だと思われますか?

 

(比良氏)

短期的な結果を追い求めず、長期的なビジョンを持って信頼関係を構築することです。インドは国土も日本の9倍、人口も圧倒的に多く、言語や宗教も多様です。現地の市場に適応し、ボリュームゾーンである中間所得層をターゲットにした価格戦略を立てることが重要です。また、現地のパートナーや既に進出している日本法人との協力体制を築くことも欠かせません。

 

(齋木理事長)

文化的な違いを理解することも重要ですね。習慣の面ではいかがでしょうか。

 

(比良氏)

日本とインドは、歴史の古さや仏教の影響、家族を大切にする文化など、似ているところもたくさんあります。ただ、食文化や生活習慣は宗教の影響を強く受けていますので、その多様性を尊重する姿勢が求められますね。

 

(齋木理事長)

比良さんは在日インド商工協会の会長をはじめ、多くの団体で重責を担っておられますが、今後の日印関係には何を期待されますか?

 

(比良氏)

経済・技術面では、ITやAI、半導体、医療分野での協力強化です。また、安全保障面では「クアッド(Quad)」の枠組みを通じたインド太平洋地域の安定が不可欠です。そして何より大切なのは人的交流の拡大です。若いインドのIT人材が日本で働き、日本の学生がインドへ行く。航空路線を増やし、文化交流を深めることで、次の世代の絆を強くしていきたいと考えています。

 

(齋木理事長)

今の日本の若い世代に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

 

(比良氏)

日本は道徳心や礼儀、義理人情にあふれた、世界でも稀有な素晴らしい国です。経済や科学、政治の面でも非常に恵まれています。若い皆さんには、自国に自信と誇りを持ってほしい。日本の輝かしい未来を信じ、より強く、新しい日本を築くために積極的に挑戦してほしいと願っています。

 

(齋木理事長)

歴史的な背景から未来への提言まで、非常に熱のこもったお話をありがとうございました。日印の架け橋としての比良さんのご活動、これからも応援しております。本日はありがとうございました。

 

 

公益財団法人日印協会

The Japan-India Association

〒102-0083 東京都千代田区麹町1-6 麹町保坂ビル6階
 
 


●そのほかの記事